夏休みの自由研究や週末の旅行で子どもの歴史の学習をなるべく実体験にそったものにさせてやりたい!そんなパパやママに向けて、全国の注目の城を東日本、西日本に分けてご紹介します。
東日本の城 中学受験の歴史対策、自由研究向け!
五稜郭 幕末、函館戦争の舞台
北方警備のために江戸幕府が築いた日本初の洋式の城。星形に土塁が積まれたその形から「五稜郭」と呼ばれ、函館港に入港していたフランス軍艦の資料から、西洋の大砲などの的になりにくいように設計されたといわれています。
土方歳三が戦死した1868年の函館戦争の舞台としても有名で、「函館博物館五稜郭分館」の入口付近には筒の長い官軍の大砲と、短い旧幕府軍の大砲が展示され、大砲の威力の違いやなどから闘いの様子を想像することができます。
また、五稜郭公園の入り口にある五稜郭タワーからの眺めも是非体験してほしいポイント。中は資料館となっており、展望台からは、五稜郭の星形を見ることができます。2月には、「五稜星の夢イルミネーション」と題したイルミネーションが行われ、五稜郭タワーの上から、五稜郭を見下ろすと、函館の街中の家々の明かりを背景に、暗闇の中に光に彩られた星形の城郭が浮かび上がる様子は圧巻です。
五稜郭の歴史的ポイント! 小学生の子どもと確認しよう!
- 日米和親条約により開港された箱館港を守る目的で1864(元治元)年に築城が開始(函館は日米和親条約で下田とともに開港された)
- 新鮮組組長土方歳三が「蝦夷共和国」を建国するが、新政府軍からの攻撃を受け函館戦争により開城
- 北海道函館市五稜郭町43-9
- 公式サイト
- 大人900円 中高生680円 小学生450円
石垣山城 豊臣秀吉の一夜城を見に行こう!
小田原城に構える北条氏討伐のため、小田原城の目の前の笠懸山に、豊臣秀吉が一夜、実際には約80日で築城したといわれる石垣山城。近江の穴太(あのう)衆による石積みで、関東で最初に築かれた総石垣の城でもあります。
白い紙を貼って、一夜(約80日)で城壁にみせかけたといわれ、歴史好きな子どもと一緒なら、「これがあの!」という驚きがあり、小田原城とセットで出かけるのもおすすめです。
整備された城跡が残っているわけではないので、城へ行くというよりも、お弁当を持って歴史を感じる小山へのハイキング! というつもりで行きたいスポットです。今も残るのは、崩れかけた石垣跡。頂上からは、小田原城が見えるか見えないか、、、というところ。登り切った後の、大磯方面の景色は絶景です。
石垣山城の歴史的ポイント! 小学生の子どもと確認しよう!
- 豊臣秀吉が小田原征伐の際に小田原城の西の笠懸山に築城した城
- 一夜で築城されたその城の光景を見た北条氏は戦闘意欲を失い降伏した
- 小田原市早川字梅ヶ窪地内
- 公式サイト
- 入場無料
会津若松城 戊辰戦争の舞台!
NHKの大河ドラマ「八重の桜」の舞台の名城。江戸時代の終わりには戊辰戦争の舞台となり、八重はもちろん女性・子ども・老人約5000人が約1カ月の攻防戦にたえ難攻不落の名城として知られています。
明治政府によりすべての建物は取り壊されましたが再建され、現在内部は若松城郷土博物館として体験型の資料館になっています。
2011年には、戊辰戦争当時の珍しい赤瓦に葺き替えられ晴天の日の青空と赤瓦のコントラストの美しさは必見です。
また、鶴が羽を広げたように美しいその姿から「鶴ヶ城」とも呼ばれる景観にも注目。若松城郷土博物館、周囲の武家屋敷と合わせて、歴史好きなファミリーなら会津若松城を中心に一日楽しむことができます。
会津若松城の歴史的ポイント! 小学生の子どもと確認しよう!
- 鳥羽伏見の戦いのあと、江戸が無血開城され、薩長軍(西軍)の標的は会津へ戊辰戦争となった。
- 幕末の戊辰戦争では旧幕府派(東軍)として最後まで抵抗。最後は当時15歳前後の白虎隊も前線で戦い、城にこもった老人や女性も自害し、戦いが終わった
- 福島県会津若松市追手町1−1
- 公式サイト
- 大人410円 小人150円
小諸城 武田信玄が築き、島崎藤村、和歌山牧水に愛された城
島崎藤村の「小諸なる古城のほとり」の城としても知られる小諸城。城と言えば奥に入るにしたがって登っていくものという印象が強いですが、「三の門」の入口は城の奥に向かって下がって造りが特徴的です。
城下町よりも低い位置に城がある「穴城」として知られ、谷や丘を利用し、水を利用しないのもこの城の特徴です。
この城の縄張りを行った山本勘介は小諸城を「攻めるに難しく、守に易しい城」として築いたといわれ、城内には光るほどピカピカに磨かれた「鏡石」があります。山本勘介は毎日自分の顔を写し、反省したとも伝えられ、こういった遺構を親子で見つけながら歩くのも城歩きの楽しみです。
園内には動物園や児童遊園地もあり、城めぐりに飽きた子どもを遊ばせることもできます。
小諸城の歴史的ポイント! 小学生の子どもと確認しよう!
- 島崎藤村の『千曲川旅情のうた』や、若山牧水の短歌も刻まれる文学の舞台となる名城
- 武田信玄の命を受け、山本勘助や馬場信房らが縄張りし築城したといわれる
「小諸なる古城のほとり」 -落梅集より- 島崎藤村 小諸なる古城のほとり 雲白く遊子(いうし)悲しむ 緑なすはこべは萌えず 若草も藉(し)くによしなし しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ) 日に溶けて淡雪流る あたゝかき光はあれど 野に満つる香(かをり)も知らず 浅くのみ春は霞みて 麦の色わづかに青し 旅人の群はいくつか 畠中の道を急ぎぬ 暮行けば浅間も見えず 歌哀し佐久の草笛(歌哀し) 千曲川いざよふ波の 岸近き宿にのぼりつ 濁(にご)り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む
- 長野県小諸市丁311 懐古園
- 公式サイト
- 大人500円 小中学生200円
金沢城
加賀・前田家歴代藩主の居城であった金沢城。様々なタイプの石垣が見られる城であると同時に、敵が攻めて来た時の防御策がこらされた城でもあります。
攻めて来た敵を鉄砲などで撃退する「隠し佐間」「鉄砲佐間」、堀を登って攻めてくる敵に対して石を落とす出窓となった「出し」などを親子で発見しながら楽しむことができます。
また、石川門を通じて、兼六園とつながっているので、兼六園と一緒に楽しみたい城です。
- 金沢市丸の内1番1号
- 公式サイト
- 入場無料
盛岡城
「石垣」の美しい広大な平城。本丸へ続く道は、両脇に石垣がそびえたち、在りし日の城郭の壮大さを散策しながら親子で感じることができます。また本野面積、切込接、打込接といった、石積みの様子を観察することで、時代の変化や歴代城主の違いなどを発見する楽しみもあります。本丸は現存していませんが、中央部には資料館があり、詳しく城の歴史を学ぶことができます。
桜の名所としても知られ、城郭の上から満開の桜を見下ろせば、桜の海がひろがったようにも見えます。
- 盛岡市内丸1番37号
- 公式サイト
- 入場無料
新発田城(新発田城)
沢山のあやめが美しく咲いていたため「あやめ城」、大雨が降ると城が水に浮かんでいるように見えたために「浮舟城」とも呼ばれた美しい城。
石垣は、四角く成形した石材を密着するように積み上げ「切込接(きりこみはぎ)」で、すっきりとした美しい姿が印象的。また、三階櫓には、3匹の鯱(しゃちほこ)が見られる珍しい城でもあります。
- 新潟県新発田市大手町6丁目
- 公式サイト
- 入場無料
西日本の城 中学受験の歴史対策、自由研究向け!
和歌山城
小山の上に築かれた和歌山城。天守などは再建されたものですが、堀などは往時の風格をのこしています。
子どもが喜ぶのは、西の丸と二の丸の間の「御橋廊下」。風雨をさけ、外から殿様の姿が見えないようにと屋根と壁でかこまれた珍しい橋です。西の丸と二の丸の高低差により、約11度の傾斜があるにもかかわらず、滑らないように、廊下の床板が組まれ、現在は誰でも通ることができるので、子どもたちが興味をもって大喜びで渡るかもしれません。
- 和歌山県和歌山市一番町
- 公式サイト
- 大人410円 小人200円
中城城
14~15世紀の中ごろ建設されたグスク。現在は琉球石灰岩然を自然のまま利用した城壁だけが残り、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に認定されています。
石垣が作る曲線、アーチ型の門など柔らかい曲線が作り出す空間は、直線で構成された、本州の多くの城とはまた違った独特の趣を醸し出し、草生した場内や堀の様子はマチュピチュやジブリの世界を彷彿とさせ人気を集めています。城を訪れるというよりは、「遺跡」を訪れるという印象の場所かもしれません。
アーチ門は、ペリーが「エジプト式」として驚いたともいわれ、石積みの技術の高さがうかがえます。また、城壁の上からは太平洋や東シナ海が見渡せ、天気の良い日は、海と空が溶け合うような美しい景色を見ることができます。また、夕方、夕陽に染まる石垣の雰囲気も趣があります。ベビーカーでの入場が不可なので、注意が必要です。
- 沖縄県中頭郡中城村泊1258番地
- 公式サイト
- 大人400円 中高生300円 小学生以下200円