こんにちはモンテッソーリ教師のにこにこママです(@kidsedujapan1)。夏休みの宿題で必ずと言っていいほど出題されるのが読書感想文の宿題。
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この読書感想文の宿題で「何を書いたらいいかわからない」のでなんとなくあらすじを書いて作文が嫌いになったという声をよく聞きます。
もちろん我が家でも毎年同じような状況が起こっています。
- ステップ1:なぜ読書感想文を書くの?を知る
- ステップ2:読書感想文の8~9割は自分の体験や考えを書くことに腹落ちする
- ステップ3:本を読んで感じたことを自分なりに問題提起する
- ステップ4:ステップ3で設定したテーマで自分の体験や考えと重なる部分を書く
今年も読書感想文を書こうとして「あらすじ」から書き始める子どもたちに、噛んで含めるように「書くのは『感想』なのよ。あらすじを書くのが読書感想文だったら、上手に要約する練習をしている人の作文が上手なことになるでしょう? しかも、要約だったら誰が書いても同じ文章になってしまうでしょう」と、毎年恒例の小言を言うはめになりました。
皆さんの家庭ではいかがでしょうか? 結局、読書感想文が難問に思える理由は、読書感想文で何を書くか? が子どもの腑に落ちていないからだと言わざる負えません。
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ステップ1:なぜ読書感想文を書くの? を知る
さて、夏休みに読書感想文に取り組む理由は何でしょうか? その理由を探しに学習指導要領を覗いてみました。
上記は学習指導要領の中にある「これからの時代に求められる国語力の構造」モデルです。これを見ていくと、子どもたちにの読書感想文を書かせる目的もすっきりとしてきます。
1年に一度本を読んで「考える力」「感じる力」「想像する力」とともに「表現する力」をつけるのだなと。
ほとんどの子どもが出展する毎日新聞社が主催する最大規模の読書感想文コンクールは個人応募が出来ません。
まずクラスで上位者が選ばれ、次に学年上位者が選ばれ、学校の代表が選ばれ、国や市の代表が選ばれ、最後に県の代表が選ばれ優秀賞が決まります。
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このルートは非常に狭き門で、選ばれたからいい、選ばれなかったから悪いというところを読書感想文の判断基準にしてしまうと、子どもの読書感想文への印象が非常に悪くなり、苦手意識を植え付けてしまうことになります。
小学校の頃は、子どもの精神的発達に個人差が大きな時期です。
親の方で子どもが読書感想文を書く様子を見守り、その子にとってこの夏休みの読書感想文が「考える力」「感じる力」「想像する力」とともに「表現する力」をつける契機になっていることを認めて、励まし、褒めてあげられるといいですね。
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ステップ2:読書感想文の8~9割は自分の体験や考えを書くことに腹落ちする
読書感想文コンクールの上位作品をチェックしてみると、最も驚くのは、あらすじやお話の内容が中心の作文ではないことです。
2017年のコンクールの上位入賞者の作文を見てみましょう。
この小学2年生の男の子の作文は、大きく3段落に別れていますが、中ばの一段落分には自分の経験がまるまる書かれ、最後の段落ではその経験をもとに自分の意見を書いています。
もちろんあらすじも書かれているのですが、この読書感想文で最初にあらすじが書かれているのは、自分の経験を通じて自分の意見を書くことになったのが、課題図書を読んだからで、自分の意見を書いていくのに必要だからです。
読書感想文を書く前に、「読書感想文=本の内容を書くもの」ではなく、「読書感想分=本を読んで思い出した自分の体験を通じて考えたことを書くもの」だということを確認してからスタートしたいですね。
ステップ3:本を読んで感じたことを問題提起する
読書感想文の難しさは、本を読んで感じたことを書くときに作文のテーマを自分でテーマ設定をしなければいけない点です。それもなるべく具体的な問題設定をしないと書くのが難しくなります。
- 自分の大すきなうたや思い出のあるうたについて書いてみましょう
- あなたが食べすぎてしまうぐらいすきな食べ物はどんなものですか。その食べ物を食べたときのことについて書いてみましょう
- あなたが大切にしているものについて書いてみましょう
子どもたちは読書感想文以外の作文ではテーマ設定が明確な作文を書くことが多く、それに慣れていればいるほど、「読書感想文を書こう」というテーマ設定がない課題に苦しみがちです。
友情をテーマにした小説なら、友情の大切さについてなのか? 友情が勇気がくれることについてなのか? 友情を信じる大切さについてなのか? より細かく具体的なテーマ設定ができるとぐっと読書感想文が書きやすくなります。
ステップ4:ステップ3で設定したテーマで自分の体験や考えと重なる部分を書く
最初に紹介した作文は低学年の部の最優秀賞をとった「友だちっていいな」をテーマにした作文ですが、一体賞を取らない作文とはどのようなものなのでしょうか?
下のものは、「みんなこわがられたくないんだな」をテーマにした我が家の小学1年生の作文です。
クラスでも学校でも選ばれなかった読書感想文の例となります。
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賞がもらえない読書感想文ってどんなの? 小1の作文例
アランはこわがらせるのがすきなわにです。でもひとりぼっちでした。それがさいごにはみんなのおてつだいをするようになって、みんなとなかよくなりました。
このほんをよんで、ママがしつもんしました。「まりえのクラスに アランみたいな子いる?」ってきかれました。
わたしは「いないよ」ってこたえました。「こわいのはママじゃない?」ってパパがいいました。
「そんなことないよ」ってママが言いました。そうしたらパパが「いつもおこってるじゃん」と言いました。
そしたら、「ママはいそがしいからいらいらしちゃうの」。
「ママだいすききをつけます」ってかいたかんばんをつくっておこりそうになったらみせて」
ママがへやをかたずけておこりそうになりました。かんばんをみせました。ママがやさしくおこりました。
「ママもアランもこわがられたくないのかな」とママがききました。そうしたらわたしも「ママもアランもこわがれたくないんだな」とおもいました。
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本人なりにこれでもとても苦労して書いた作文なのですが、全体にまとまりに欠ける点やテーマ設定の微妙さはいなめません。
しかしそばで見ていて、本人なりの意見を書いている点、考えたことを一人だけで終わらせずに家族と話しながら感想を深めていく様子などは、この読書感想文の良い点と親だからこそ認めてあげることができる点だなと感じています。
読書感想文などは、ためておいて毎年過去のものを見返し、その時の受賞者の作文と見比べてみる場とするのも良いかもしれません。
知っておきたい!ハイレベルな読書感想文を書く!子どもへの声かけのポイント
毎年の読書感想文の課題図書を具体的に取り上げて読書感想文について解説する大竹 稽さんの読書感想文書き方ドリルという書籍があります。
この本には読書感想文を書くときに子どもが自分で自分の考えを深められるようにする7つのポイントがあげられています。
- あらすじはどんなだったかな?
- 注目したところはどこかな?
- 知っている本と比べてみるとどうかな?
- 本のテーマは何かな?
- この本を読んで「こんなところが問題だ!」と感じたところを教えて!
- 3であげた本と比較して5で「問題なんじゃない?」と感じたことを書こう
- 5であげた「問題なんじゃない?」と感じたことにあなたが出すのはどんな答え?
まずあらすじを確認し、注目したところや、知っている本との比較、問題だと感じたところなどについて具体的に親子で話すことで、自分の体験をもとに考えをまとめていくことができます。
知っておきたい!欧米では常識!文章構造をとらえた書き方
プレジデントファミリーでつくば言語技術教育研究所の三森ゆりか先生は上記のように欧米の子どもたちが小さなころから徹底して学ぶ書き方を付箋を使って行う方法を解説しています。
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- 問をたてる「●●は好きですか?」
- 1に「私は」という主語をいれた文章を書く
- 「私は●●がすきです。」
- 理由がいくつあるかを言う「理由は2つあります。」
- ひとつめの理由を述べる「一つ目の理由は▼▼です。」
- ふたつめの理由を述べる「2つ目の理由は■■です。」
- 全体をまとめる文章を書く「だから私は●●がすきです。」
子どものための論理トレーニング・プリント(三森ゆりか先生著)
知っておきたい!子どものタイプによりテーマ設定のアプローチが違う!
白羽瀬 理宇@ライター&GMさんが読書感想文が書けない子のパターンを3つにわけ、その子どもたちが書くことが大好きになるような親の声かけをまとめたツイートがあります。
-
- パターン1.「世界が平和になるといいと思います。」な優等生タイプ
- パターン2.「楽しかった!」な直球短文タイプ
- パターン3.「んー……………」沈黙タイプ
具体的には、優等生タイプの子には「何を?」「どうやって?」と具体的に説明をさせ深める、直球短文タイプには敢えて間違えた答えを聞いて楽しく会話を引き出す、「んー」沈黙タイプには「心に残ったシーン」から聞き出し出てきた答えを大げさに肯定するなど。ツイートには具体的なポイントが丁寧に記載されているので必見です。
読書感想文講座で感じた、読書感想文書けないパターンはだいたい次の3つ 1.「世界が平和になるといいと思います。」な優等生タイプ 2.「楽しかった!」な直球短文タイプ 3.「んー……………」沈黙タイプ タイプ別対処法をリプ欄に続けます。#夏休みの宿題 #読書感想文#主婦らの夏休み戦争
— 白羽瀬 理宇@ライター&GM (@Riu_Shirahase) 2018年7月26日
読書感想文は中々のハードルですが、だからこそ子どもの成長の大事な機会にしたいですね。
小学生のうちに文章力をつけていくために必要なことは?
最後に本記事とは直接関係ない宣伝となりますが、小学校の低学年の方、及び現在、中学受験真っ只中の方向けの話です。
中学受験、特に難関校や公立中高一貫校の適正検査では国語に限らず社会や理科、算数などあらゆる強化で「自分の考えたことや経験を言葉にする力」が求められます。
この傾向は大学入試改革の影響をうけどんどん進むと考えられています。
最近の大学入試は、通常の学力試験である一般入試、AO入試、指定校入試の大きく分けて三種類があり、一般入試は減少しAO入試が増加傾向です。
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そして、AO入試の合否を分けるのが「自分の経験をもとに、大学での学びを具体的に表現する力」です。これは日本だけではなく、海外大学での入試ではさらに重視されるようになります。
自分を文章で表現する力は、日々の修練が非常に重要になります。学校や塾でやってくれるのだろうと、のんびりかまえていると、学力があっても合格できないというケースも出てきます。小学校時代に楽しみながら書く力をつけておくと、一生ものの力になります。そんなときにおすすめなのが、齋藤孝先生が監修する作文教材「ブンブンどりむ」です。
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無料体験キットは1週間もしないで手元に届くので、かわいいキャラクターがナビゲータとなって漫画で解説をしながら文章力をつける教材をぜひ親子で体験してみてくださいね。
オススメの作文教材で、中学受験生の多くの方が受講していますのでぜひ、ご検討を!!
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