中学生の夏休みどんな過ごし方をするのか? そろそろ決めないと締め切りの時期です。子どもが「これ行きたいんだけど」と、最初に選んでもってきたのは、5日間の離島キャンプ。環境問題やSDGsについて学ぶプログラムでした。料金は9万円ほど。
ちょうどいい機会なので、一緒にいろいろ考えました。
中1の夏休みのSDGsや環境問題のワークショップ選びの会話
【母】
9万円は、結構するね。何でこのプログラムなの?
【中1】
夢を見つけるために中学に行くって言ったじゃない? 探しに行くんだよ。これはいろいろな探究ができるようになってるし、一つにしぼらないでいろいろ体験できるんだよ。ママがなるほどって言いそうなプログラムじゃない?
【母】
うーん。小学生までは、それでなるほどと思うけど、何かに参加すると夢が見つかるって話に9万円払ってって言われて、「はい。お金出しましょう」とは言いにいくい。
とはいえ、自分で検索窓にいろいろ入れて検索してせっかく本人が持ってきたワークショップです。
せっかくなので子供が考えていることをいろいろ聞いてみました。
夢の周辺を一緒に書き出してみる
【母】
やりたいことってどういうことがあるの?
【中1】
人の役に立つ人になりたいんだよね。
「人の役に立つ」というテーマで夢になるものを探したい。
【母】
どういうときにそう思ったの?
【中1】
うーん、マザー・テレサ? 聖書の時間にも出てきたけれど、小学校の読書感想文でもマザー•テレサについて書いたよ
マザー・テレサはいろいろなところで出てきます。我が家の本棚にも2冊あり、こういう話題になると必ず話題に上ります。
途中で挫折して、答えに近いものがインターネットに落ちていないか探しにいく
おしゃべりしながら子供が「人の役に立つ」ことで、「夢」に近いと思っているようなものを少し書き出しました。
「人の役に立つ」=「環境問題」というイメージも持っているようでした。
話しているうちに、聞かれたり答えたりすることが面倒くさくなったようで、ベッドに行ってお昼寝をして、あっちのホームページ、こっちのホームページをのぞいて、答えに近いものを探している様子。
夫が、「そういうのは、あっちこっちいろいろな人の様子を覗いていても出てこないよ。自分の中のささやかに見えることにも価値があるんだよ」と声をかけていました。
少し自分で整理をしてみた様子
教科書的な文脈は作れても、それがあなたにとってどうして重要に思ったの? と体験やきっかけを聞かれるとタジタジしてしまったり、自分は何も考えていないからダメなんじゃないかと感じる様子。
そうすると、こういう問いに向き合うのが嫌になってしまう。そういう風に見えました。
私自身もこんな風に聞き始めたものの、なんとなく誘導しているようで、もやもやした気持ちになります。
これ以上引っ張って話してもと、「東進で勉強してくる日だから、煮詰まってきたし行ってきたら?」と送り出しました。
塾に行って、お風呂に入って夕食を食べたあと、「せっかくの週末だし、続けてみる?」と2人でもう一度ノートを開きました。
時間が空いたことで、「人の役にたたなければ夢じゃない」という気持ちが少し和らいで、「環境問題」から考えていこうかな? と言い始めました。
【母】
今まで、海や川や山でこれは綺麗だな。大切にしたいなって感じたことを出してみる?
【中1】
自然と言えば、毎年那須に行く。山口のおばあちゃんちで海にパパと行く。
川での魚取りは本当に好きで一年に何度も行く。おにぎり持って、魚取りに行くのが好き。
学校でも川でカイボリしたり、捕まえたサカナについて発表したりした。
鰻が見つかってテレビ番組になったんだよね
自分がこれまで深く「環境」にかかわった経験の一つが、大好きな地元の川での魚とりの経験だと言うのは自分として違和感がないという気持ちになったようでした。
土日には小学校の低学年から近くの川に出かけて川魚や川エビやヤゴをひたすら捕っては育て、捕っては育てしています。
【中1】
小さいころはサイズ的にメダカだと思っていたのが外来種のカダヤシで捕っても、殺しても、川に戻してもいけないと知ったときはびっくりした
小学校の環境問題では定番の外来種・カダヤシと日本の固有種のメダカについては習うよりも早く何度も捕まえていたので身近な生き物で、自分も生態に興味を持っていました。
「そういえば、この間おじいちゃんがくれた記事の人は『環境問題』を仕事にしていた人じゃなかった?」と言うと「難しそうで読んでない」と言いながら取り出してきて記事を読みました。
大学の授業で興味のあるものに出会ったという部分に、夢に近いかもしれないものには授業や本で出会うのでも当たり前にいいんだなというのは、私にとっては改めての気づきで「この人、大学の授業で『コレ』だと言うものに出会ったって書いているよ」と思わず声を上げました。
環境問題というと、環境を研究したり、環境を良くするNGO的な仕事が浮かびますが、「美味しくて地球温暖化に役に立つ商品を開発し販路を拡大する」という部分もあり、ノートだけを見ていたときに比べて、本人が自分の経験を深ぼる視点をくれました。
ひとつの結論 川の自由研究 メダカとカダヤシを比べてみる?
この日、夏休みにやってみたいこととして、「メダカとカダヤシを実際に育てて調べて比べてみる」という案が出てきました。ビオトープをベランダに作って比べてみたいということ。
ただ、冷静に考えると、カダヤシを増やしてはいけないのではという話になりました。普段は一緒につかまえた川エビやザリガニと一緒の水槽に入れておくことになってすぐに食べられて姿が見えなくなっています。
特定外来生物「カダヤシ」についての環境省のページ
(絶対に飼育するのをやめましょうと書かれています)
そのうえメダカを産卵させて増やすこと自体が難易度が高いとききます。また、メダカ・自由研究で検索すると以下のページが出てきます。
メダカの研究 パートII パートIII
自然科学コンクールのメダカがテーマの入賞研究
メダカ博士コンクール入賞作品
メダカはほかのテーマに展開していく様子も見えたので、ベランダビオトープの本は注文しておきました。
話しをていたら、夏休みのワークショップをどれにするか? からどんどんずれていって自由研究の話になってしまいました。
夢って難しい
「夢を見つける」というのは難しいものだと今回感じました。
大きく捉えようとすると解像度が上がらない、積み上げて考えると本筋からずれてしまう。
そばで聞いていても、こちらも方向性のアドバイスなどおこがましくてできる気がしません。
「誰かの役にたちたい」という気持ちはもしかしたら、他者評価を期待する気持ちなのだろうか?
それにしても少しほっとしたのは、「誰かの役にたちたい」から「自分が興味をもっているもの」へテーマが移動していったこと。こういうときに、榎本博明さんの「<自分らしさ>って何だろう?」という書籍の中に次のような部分が頭に浮かびます。
自分を社会にどうつなげていくか
アイデンティティをめぐる問いの中核にあるのが、自分を社会にどのようにしてつなげていくかというテーマである。それは具体的な職業をめぐる葛藤として経験されることが多い。
エリクソンは、何かに献身したいという欲求がアイデンティティ危機のひとつの側面だという。
なんとなく、もうしばらくは「すきなこと」から起点でいろいろ挑戦してほしい気がします。
コロナ禍での離島キャンプは子ども自身がワクチン接種をしていないことや、学校の先生が感染して休校になったことなどもふまえて、まずは見送ることに家族でなりました。