「知識ゼロからの中学受験」編集部のOです。小学3年生と小学5年生の姉妹のいる我が家も少しずつ中学受験モードに入ってきました。というわけで、本当に知識ゼロからの中学受験の記録を不定期でお届けします。
長文読解は子どもにとって社会への窓なのかもしれない
小学生の国語といえども、長文読解のテーマは、環境問題、文化論、異文化理解など多岐にわたり、深いテーマを扱っています。
そんな長文読解を子供が解くのを見ていると、「もしかしたら、国語で社会への見方を身に着けているのかもしれない」そんな風に最近感じます。
例えば、ここ2週間は連続して人間と生き物の関係性のパターンや視点の置き方をテーマにしたものでした。
人間がほかの生きものよりも偉いわけではない/環境問題への視点1
今週は、日高敏隆さんの「ぼくの絵かい博物誌」の中から、「ネコの幸せ」。
日高敏隆さんの作品は中学受験の長文読解では定番もののひとつで、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した「春の数えかた」などでも知られています。
「ネコの幸せ」では、
人間とそのほかの生き物の生き方のパターンや、パターンがちがうことをどう捉えていくのか、そんなことを考えさせてくれる教材でした。
一般的な考え「動物より人間の方が偉い」
筆者の考え「ただ生き方のパターンが違うだけ」
人間の生き方=自然を支配して生きている
など、環境問題について考えるときによく使われる考え方のフレームを、ペットのネコを通じて日高さんが考えたことを導入にわかりやすく解説されていました。
同じ人間でも所属するグループによって自然への向き合い方は違う/環境問題への視点
さらにその前の週は、庄野英二さんの「水の上のカンポン」。
こちらも「ロッテルダムの灯」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しています。
この作品では、現代の日本に住む私達よりも、自然によりそって生きるオダイの人たちの生きざまから考えたことが、小学生にもわかりやすく書かれていました。
飲水に困っていたオダイの人たちがツルたちの泉をみつける
オダイの人たちは泉を人間のものにするのではなく、先に住んでいるツルに迷惑をかけるのは申し訳ないと思い、ツルと共生する生き方を選ぶ
自分以外の人を思いやりながら、今まで以上に幸せな生活を送るというライフスタイルもある
環境問題について考えるときのキーワードのひとつ「共生」について考えることができる課題でした。
子供が長文読解ができないとき、人間として大切なことを学んでいるのだから少し時間がかかると、思えるときもある
我が家の長女は、国語の長文読解が苦手なので、一緒に勉強をしているとイライラしてしまうこともあります。
著者の主張をつかみ取ってくるのに時間ががかかるからです。
そんなとき、国語をやっているというよりも、1人の人間として生きていくために大切な、社会の仕組みについて学んでいるから、「少し手がかかっても仕方ががない」。
そんな風に考えて、じっくり取り組むように見守ってもいいのかもしれないと、最近思うようにしています。
論理のパターンを覚えるのはまずい
先週の考え方のフレームも、今週のフレームも、大人にとってはどちらもおなじみのもので、教養として身につけておいてほしいもの。
とはいえ、これを覚えるように言うことで、実際のテストのときに前にやったあのフレームだ!と、しっかり課題文を丁寧にやらないということが起こるのは困りものです。
このあたり対応は、子どもの様子を見ながらなのだろうなとも思います。